“個”を活かす社会へ 〜真の民主主義をめざして〜 NPO全国フォーラム2003北海道会議 実行委員会代表 田 口 晃 狭い意味の民主主義、つまり政治的民主主義は制度上は既に成立していることになっています。普通平等選挙権を通じた政治参加の保障と複数政党制があれば、最低条件は満たした格好です。さらに政権交代が時々行われれば、もう十分ということになりましょうか。しかし、もっと広く民主主義を「対等な関係に立つ諸個人が自己決定の場と機会を増やしていくこと」と定義し直してみると、まだまだやることは私たちの身の回りにごろごろしています。お気づきのようにNPOは社会の様々な分野でそうした自己決定の場をつくり出す重要な役割を担いつつあります。一人一人が自分の判断で活動できる場と機会を増やせば、世の中が活性化し、元気になること請け合いでしょう。不況や構造変動の中の先行き不安で畏縮しがちな昨今、2003年の北海道会議があえて「真の民主主義」をめざすことにこだわったのも、そこに着目したからに他なりません。 ところで“個”を活かすことは、決して個人がバラバラであることを意味しません。まわりが競争相手ばかりの「肘鉄社会」(ドイツ語の翻訳です)では、戦々兢々、却って自由でおおらかな行動が阻害されます。対等な(「平等な」だと上から見た「一視同仁」的画一的な捉え方が入り、市民活動向きではないように思います)個人が競いつつ助け合う柔軟な関係を生み出していくと、初めて“個”が活かされてくるわけです。柔軟さが重要ではないでしょうか。問題があればそれを解決するために人が集まり、解決すればまた離れていくような緩やかで開かれた、そして時限的な関係を思い描いてみましょう。近代市民社会が想定した「自発的結社」の精神はそういうものだったはずですし、NPOの精神でもあります。「柔軟な組織は人類にとって石油以上に貴重で重要なエネルギー資源だ」とG.ベイトソンが述べています。言われてみれば当たり前、コロンブスの卵ではありませんか。 最近ではこうしたNPO的な活動力を「社会関係資本」と呼んでいます。一種の社会力と考えていいでしょう。私たちの身の回りから、地球規模まで、こうした社会力を付けていくための条件や技量を具体的に検討し、可能性を論じるのがNPO全国フォーラムの意義だと思います。 このフォーラムは、1997年以来、2001年まで毎年行ってきましたが、今回からは隔年で開催することとしています。北海道の地で改めて様々な立場と角度から、NPOの実践の経験を語り合い、意見の交流を図ってみましょう。